団塊世代の再雇用、「60歳代の雇用増やさない」が4割(ASAHI)

2005年10月16日22時03分

 大和総研は、団塊の世代(1947〜49年生まれ)の定年後の再雇用情勢について「厳しい」とするリポートをまとめた。65歳まで働ける環境整備を企業に義務づける「改正高年齢者雇用安定法」が来春施行されるが、厚生労働省の調査で、約4割の企業が60歳以上の労働者の再雇用を「増やす予定がない」などとしているためだ。


 団塊の世代が07年から定年期に入ることが「07年問題」として懸念されている。法改正によって企業は(1)65歳までの定年引き上げ(2)定年制廃止(3)退職後再雇用などの継続雇用制度の導入、のいずれかの実施が義務づけられる。

 厚労省が企業を対象に昨年おこなった高年齢者就業実態調査によると、7割の企業に勤務延長や再雇用といった継続雇用制度があるものの、1千人以上の事業所ではこの制度があっても72%が定年退職者として扱われ、再雇用されていない。

 同調査では、向こう2年程度の間に、60歳以上の人の雇用を「増やさない」との回答が36%で、「増やす」は1割にとどまった。増やさない理由では「高年齢者に適した仕事がない」が4割を超えた。


 大和総研の鈴木準・主任研究員は「法改正によって、高年齢者の雇用システムが劇的に変化するわけではない。高年齢者が多様な働き方ができるような仕組み作りを官民で考える必要がある」と指摘する。