北朝鮮次第で「厳しい対応」 政府、制裁の可能性に言及(ASAHI)

 北朝鮮側が提供した物証などの精査結果を受け、政府は24日、北朝鮮側から速やかに誠意ある回答がない場合には「厳しい対応をとらざるをえない」との方針を表明。経済制裁には慎重な方針は維持しつつも、北朝鮮の対応次第では、制裁が選択肢の一つとなりうるとの姿勢を示した。北朝鮮側の反発も予想され、拉致問題をめぐる日朝協議は大きな岐路を迎えている。

 細田官房長官は24日の記者会見で今後の方針について(1)北朝鮮に対して「再調査の結果は極めて誠意を欠く」と強く抗議する(2)拉致被害者の真相究明を一刻も早く行い、生存者をただちに帰国させることを要求する(3)迅速かつ誠意ある回答がない場合、政府として厳しい対応をとらざるをえない(4)核問題解決のため、6者協議の早期再開を求める――を示した。回答期限は特に設けていない。

 「厳しい対応」の具体的な内容は示していないが、町村外相は同日、「選択肢として当然、経済制裁も含まれるということだが、別に経済制裁ありきで考えているわけではない」と記者団に述べ、対応の一つに経済制裁が含まれるとの考えを示した。

 細田長官によると、▽政府の対処方針▽情報や物証の精査結果と日本政府としての評価▽横田めぐみさんのものとして北朝鮮側が提供した遺骨の鑑定結果――の三つの文書を北京の日本大使館に届け、25日にも北朝鮮大使館に渡す。

 政府は北朝鮮側の反応を見極め、28日に予定している拉致問題専門幹事会などで対応を協議。北朝鮮側が応じるなら、政府の担当者を派遣し、直接協議する考えだ。

 小泉首相は24日夕、首相官邸で記者団の質問に答え、「(北朝鮮が)どういう対応をするか見極めないといけない。対話を止めていいとは思っていないし、多くの方々が制裁を含めて必要だと言っている。対話と圧力の両面から、誠意ある対応をするよう強く求めないといけない」と述べた。回答によっては経済制裁に踏み切るのかという質問に対しては「あらゆる選択肢を残したい」と語るにとどめた。

(12/25 01:25)