2プラス2 中国との協力強化 日米共通目標 敵対行動を予防

 十九日にワシントンで開かれる外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意する「共通戦略目標」の概要が十五日、明らかになった。焦点の対中国政策について「協力関係を強化する」と明記、日米への敵対行動を予防する「融和戦略」を打ち出す。原油輸入などで重要度が増す海上交通路の安全確保が日米中の共通利益になるとして、「地域の安定に中国が積極的な役割を果たす」よう期待感を示し、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への参加も促す。
 共通戦略目標は、米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)を機に日米共通の安保政策を明確にしようというもので、アジア・太平洋地域の不安定要因とテロの脅威などに日米が共同対処する方針を盛り込む。
 これまでの事務レベル協議では、中国に関して集中的に検討。その結果、中国が潜在的脅威との認識は変えないものの、脅威に関しては「中台危機の危険性」を例示するにとどめ、逆に「日米両国は中国との協力を強化していく」と明記する。アジア・太平洋の平和と安定に向け、中国に積極的な役割を求めるとともに、「日米の政策協議を緊密化させる」と盛り込む。
 これは「中国を敵対戦略に傾斜させるのではなく、戦略的パートナーとして取り込むべきだ」(防衛庁幹部)との認識で一致したため。特に、中国が経済成長に伴うエネルギー確保から、南シナ海など海上交通路の安全確保が重要になることから、「シーレーンの安全が日米中の共通利益になる」(政府筋)との判断がある。具体的には中国がメンバーに入っていないPSIへの参加を促し、海賊対策でも連携を深めることを模索。信頼関係の醸成で、中国との全面衝突を避ける狙いがあるとみられるが、「融和戦略」で中国が軍拡路線を抑止する保証はなく、論議を呼びそうだ。
産経新聞) - 2月16日2時50分更新