台中和平推進に合意 陳総統・親民党宋主席が会談 共同声明10項目

 【台北24日竜口英幸】台湾の陳水扁総統と野党第二党・親民党の宋楚瑜主席との会談が二十四日行われ、双方は「中華民国体制護持」を最大公約数として台中関係改善、防衛力整備、憲政改革推進などで合意、十項目の共同声明を発表した。台湾政界は四年ぶりに和解と協力へ向け動き出した。

 独立志向の陳総統と、中国との統一志向の宋氏という水と油の両氏が歩み寄り、両岸の和平促進で合意した意義は深く、今後の台中関係にも大きな影響を与えそうだ。

 会談は、昨年十二月の立法委員(国会議員)選で、陳総統が率いる与党連合が目標とした過半数に届かなかったため、野党に和解と協力を呼びかけたのがきっかけ。宋氏も、議席減から野党第一党・国民党との合併を断念、党の主体性確保と小選挙制への移行下での生き残りを懸け、陳総統との会談に応じた。

 共同声明は(1)中華民国の主権と現状は、両岸と国際社会に承認・尊重されなくてはならない(2)両岸関係(改善)は、憲法順守、現状維持、和平の共同推進を最高原則とする(3)(中国による)武力の脅威や、台湾の国際活動封じ込めの中での関係改善は無理。平和的な関係改善の仕組み樹立に努力する―などを盛り込んでいる。

 陳総統は両岸和平を前提として、任期内に「独立」を宣言せず、「一辺一国」論や住民投票を推進しないと明記。宋氏も米国からの武器購入の必要性を認めたことなどが、特に注目される。

 ただ、今回の和解劇には、双方の支持者から「裏切り」と反発の声が上がっていることも事実。国民党が陳総統の呼びかけに応じていないことも不安定要因として残り、台湾政界が真の和解に向かうかどうかは、依然として不透明だ。
西日本新聞) - 2月25日2時23分更新