「日米の立場変化なし」米、共同声明歓迎の台湾にクギ

 【ワシントン=伊藤俊行】日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同声明に台湾が歓迎の立場を表明したことに関連し、米政府が台湾に、中台問題で日米両国の立場に変化はないとして、歓迎の声明などを自重するよう求めていたことが明らかになった。

 米国が、中国の軍事力増強に懸念を示す一方、台湾の対応にも不満を抱いていることが浮き彫りになった格好だ。

 日米共同声明は、中台問題について、「台湾海峡をめぐる問題の対話を通じた平和的解決を促す」と表現した。関係筋によると、米政府は、台湾が歓迎を表明した背景に「日米が軍事的関与を強める」といった見方が広まっていると見て、「読み違い」を指摘する必要があると判断した。

 米政府当局者は台湾当局者に、〈1〉日米両国の台湾海峡をめぐる問題への立場に変化はない〈2〉台湾が共同声明を歓迎する立場を繰り返し強調することは好ましくない――との考えを伝えたという。

 米政府は、独立志向が強い一方で軍事費削減を掲げてきた台湾の陳水扁政権にも懸念を強めている。マーク・グロスマン米国務次官は23日、自民党額賀福志郎・前政調会長らと会談した際、「台湾の防衛力には注意を払うべきだ。ブッシュ政権は早い時期(2001年4月)に台湾への武器売却という重大な決断をしたが、台湾がその予算を(十分に)認めていないことに失望している」と語っている。
(読売新聞) - 2月27日14時45分更