米大統領、牛肉輸入再開を要請 電話協議で小泉首相に (ASAHI)

 小泉首相は9日夜、ブッシュ米大統領と15分間、電話で協議した。大統領は、牛海綿状脳症(BSE)問題にからんで、米国産牛肉の輸入再開を要請。首相は早期再開に努めるものの、時期については確約できない、との考えを伝えた。北朝鮮の核開発問題については、北朝鮮が早期、無条件に6者協議に戻ることが重要で、そのためには中国の役割が重要になるとの考えで一致した。

 電話協議は米側の申し入れで実現した。外務省の説明によると、牛肉問題で大統領が対日輸出の早期再開の重要性を指摘し、「問題解決のために首相に尽力願いたい」と求めた。これに対し首相は「自分も早く再開したい気持ちだが、いつ再開できるとは言えない。ただ、日米関係を害すことがないよう努力したい」と応じた。

 牛肉問題は、米下院で対日制裁に言及する決議案が提出されるなど「日米経済摩擦」の様相が強まりつつある。今月中に予定されるライス国務長官の訪日でも、この問題が大きく取り上げられる見通しだ。今回の電話協議は、牛肉問題がこれ以上こじれないよう首脳間で意思疎通を図る狙いがあったと見られる。

 また首相は中東和平について、9日にイスラエルのコーヘン駐日大使やパレスチナ自治政府駐日代表部のシアム代表と首相官邸で個別に会談し、双方の首脳の来日を求めたことを説明。大使と代表はそれぞれ、イスラエルシャロン首相が5月末から6月初旬の間に、パレスチナアッバス議長が5月に訪日すると応じた。

 首相はこうした状況を大統領に伝え、「米国と緊密に連絡を取りながら我が国としての努力をしたい」と述べた。大統領は「首相の指導力に感謝する」と語った。 (03/10 00:51)