シリア大統領、レバノン完全撤退を明言 国連特使に(ASAHI)

 シリアのアレッポでアサド大統領と会談した国連のラーセン中東特使は12日、同大統領がレバノンに駐留するシリア軍と情報機関を完全に撤退させ、国連安全保障理事会決議を実行することに同意した、との声明を発表した。同特使は、撤退日程の詳細を週明けにアナン国連事務総長に報告するという。AFP通信などが伝えた。軍だけでなく、政界や市民ににらみをきかせてきた情報機関の撤退も実現すれば、レバノンでのシリアの影響力は大きくそがれることになる。

 声明によると、3月末までに全軍と情報機関員を東部ベカー高原に移すとともに、その多くをシリアに戻す。残った部隊もその後、シリアに撤退させると大統領は述べたという。レバノンに約1万4000人駐留するシリア軍の一部は、すでに撤退に着手している。

 現時点では声明は撤退終了の時期を明らかにしておらず、5月に予定されているレバノン総選挙前の撤退を求める米国や、レバノンの反シリア派野党勢力の姿勢の変化に結びつくかどうかは未知数だ。

 2月末に辞任を表明し、その10日後に首相に再指名された親シリア派のカラミ氏は「救国のための各派による挙国一致内閣」づくりを表明したが、反シリア派野党は入閣要請に反発。シリア軍の即時撤退と、シリアの影響下にあるとされるレバノン治安機関と情報機関の責任者の更迭を求めている。これに対しカラミ氏は「組閣が遅れると選挙が実施できなくなる」と野党側を牽制(けんせい)。両派のにらみ合いが続いている。 (03/12 23:34)