韓国大統領 「日本が歴史歪曲」指摘 資料収集へ 対日強硬策鮮明に

 【ソウル29日原田正隆】韓国の盧武鉉大統領は二十九日の閣僚会議で、対日政策に関連して「全世界に存在する資料、文献、記録にある植民地の残滓(ざんし)を整理して洗い出すべきだ。その努力は知識情報領域で韓国の主権を回復する」と述べた。青瓦台(大統領官邸)スポークスマンは同日、大統領発言について、日本の竹島領有権主張など「歪曲(わいきょく)」された歴史を指摘、ただしていくための情報蓄積に政府として積極的に乗り出すことを表明したものだ、と説明した。

 同スポークスマンは、大統領が「国際文献やインターネット、学術資料には事実が歪曲されて表記、記述されているのが相当あるので積極的に立て直すべきだ」と述べたことを強調。蓄積した資料を基に、竹島が韓国領の独島(トクド)であることや、日本海の韓国側名称の東海(トンヘ)を国際社会に認めてもらうよう働きかけていくことを表明。韓国政府が新設を予定している「国際地名大使」が中心的役割を担うとした。

 閣僚会議で大統領は「日露戦争などの歴史をもう一度勉強、靖国神社参拝、独島、歴史教科書などについて政府レベルで対応を」とも指示した。

 歴史問題で対日強硬策を打ち出している大統領は、二十三日の国民向け談話で「断固として是正を要求する」と強調。今回の発言と指示は、国民支持率を40%台後半まで回復した大統領が、日本の教科書検定結果発表や、支持基盤である与党ウリ党の党勢がかかる国会議員補欠選挙を四月に控え、談話の具体化を図ったとみられる。通信社・聯合ニュースは「“静かな外交”から“言うべきことを言う外交”への転換を初めて言明した具体的措置」と論評した。
西日本新聞) - 3月30日3時21分更新