キルギス 米NPOが支援 政変実現させる

 【ワシントン=近藤豊和】キルギスのアカエフ政権を崩壊に追いこんだ政変をめぐり、米国の民間非営利団体NPO)によるキルギスの独立系メディアへの支援などの民主化促進活動が実を結び、政変につながったとの見方が米国で強まっている。

 米NPOフリーダム・ハウス(本部ワシントン)は二〇〇三年十一月から、キルギスで「プリンティング・プレス・プロジェクト」を開始。党派性のない独立系新聞を支援する「メディア・サポート・センター基金」を創設し、新聞発行業務の支援や海外の民主化の動きなどの情報提供を続けてきた。

 フリーダム・ハウスのほかにも、NPOである「国家民主研究所(NDI)」や「国際共和研究所(IRI)」などが、キルギスで衛星放送による米CNNテレビの視聴やインターネット利用の普及のほか、民主的なメディアや政党創設活動などを支援している。
 こうした活動は、旧ソ連圏各国の民主化促進を支援を目的とした一九九二年の「自由支援法」に基づいて、米国家予算から捻出(ねんしゅつ)されている。国務省の国際開発局(USAID)を通じて、キルギスでの米各NPOの活動のために組まれた予算は、二〇〇五会計年度で総額三千三百万ドルに上る。
 米NPOによる一連の活動について、キルギスで「民衆革命」を起こした指導者の一人は、米紙ニューヨーク・タイムズに「米国のNPOの援助がなければ、行動を起こすのは絶対に不可能だった」と話した。
 ブッシュ政権は今回の政変について、当初は民衆が暴力に走ったことを容認しない声明を出したものの、キルギス内にある米軍駐留拠点の確保の継続の必要性もあって、暫定政権との協調姿勢を示している。
産経新聞) - 4月2日2時58分更新