中国と軍事交流強化 韓国方針「日韓水準まで」

 【ソウル=久保田るり子】韓国が中国との軍事交流を「日韓水準」にまで強化する方針を打ち出し、北東アジアの安全保障にも絡んで注目を集めそうだ。盧武鉉政権は米韓関係に縛られない「自主外交」を志向し、さらに最近は日米韓の同盟関係に固執しない「北東アジアのバランサー」を目指すという“新外交”を打ち出しているが、日本との教科書問題でも中国と連携を強めるなど、その“中国シフト”が目立っている。
 中国との軍事交流強化は尹光雄国防相が四日、韓国担当記者との懇談で明らかにした。尹国防相は「中国は朝鮮半島の平和と安定を望んでいるだけに、国防相会談の定例化など軍事協力を強化する計画だ」としたうえで、「少なくとも日韓の水準にまで引き上げる必要がある」と明言した。
 日本と韓国は大臣級会談が事実上、定例化しているほか、幕僚間のハイレベル交流や部隊・艦艇の相互訪問、救命部隊の共同訓練など幅広い交流が行われている。
 尹国防相は先月末、北京で中国の曹剛川国防相と会談し、国防相会談の定例化に加えて、黄海での合同救命訓練や国防政策についての実務協議などを提案し、中国側も「積極的に検討する」と応じた。
 中韓の国防相会談は四年ぶりで、韓国はこれまで中国との軍事交流には慎重だった。「中朝が同盟関係にあり、軍事交流も幅広く、また米韓同盟関係から中台問題への対米配慮もあって中国との軍事交流には踏み込めなかった」(外交筋)という背景があったためだが、韓国がいま中国シフトに傾斜するのは、盧武鉉政権の新外交志向があることも間違いない。
 尹国防相は、韓国記者に「周辺国家との軍事外交では(自国の)国益を最優先にバランスを取る必要がある」とも述べたが、韓国メディアはこの発言をとらえ、「歴史問題などで関係が悪化している日韓から中国寄りに軸を移すこともあり得るという意味」などと解説している。
産経新聞) - 4月6日2時57分更新