ロンドンで同時テロ 37人死亡、負傷者700人以上(ASAHI)

2005年07月08日02時53分

 ロンドン中心部で7日午前、地下鉄車両やバスで4件の爆発が起きた。英スコットランドグレンイーグルズで主要国首脳会議(G8サミット)を主催しているブレア首相は緊急記者会見をし、「テロであることは明白。G8サミットに合わせたものだ」と述べた。警察当局などは37人が死亡、重傷45人、その他負傷者約700人と発表した。

 G8サミットの参加国は01年9月の米同時多発テロ以降、テロとの戦いに力を注いできただけに、サミット開催の期間中を狙ったとみられる初の大規模テロの衝撃は大きい。

 警察当局は、事前の犯行予告や事後の犯行声明は受け取っていないと述べた。犯人像などは今のところはっきりしないが、英BBC放送は「アルカイダの仕業」とするアラブ筋の見方を伝えた。

 ラッシュ時の地下鉄、バスの公共交通機関が標的とされた。午前8時50分(日本時間午後4時50分)ごろから約1時間の間に、金融街ティー付近のリバプール・ストリート駅〜オルドゲート・イースト駅間の地下鉄車両で最初の爆発があり、その後ラッセル・スクエア駅〜キングズクロス駅間やエッジウェア・ロード駅構内の車両、大英博物館に近いタビストック・スクエアのバスで、相次いで爆発が起きた。

 エッジウェア・ロード駅ではトンネル内で列車が停止し、乗客が自力で歩いて脱出したとの情報もある。顔を血だらけにして避難する人たちの姿もあった。

 タビストック・スクエアで爆発したのは2階建てバス。2階部分が完全に破壊された。死者数は不明だ。

 市内の病院は緊急搬送の患者だけを受け入れ、携帯電話会社も利用を緊急使用だけに制限するなど、救助活動を優先させている。

 BBCの報道によると、警察当局は「犯人は少なくとも四つの爆発物を使用した」と語り、同時テロ攻撃との見方を強めている。ロイター通信によると、欧州連合(EU)のフラティニ欧州委員も一連の爆発は「テロリストによる攻撃だ」と述べた。

 市内には厳戒態勢が敷かれ、地下鉄とバスは全域で運行を停止した。ロンドンでは平日、延べ300万人が地下鉄、630万人がバスを利用しており、数日は交通マヒが続きそうだ。警察当局は市民に不要の外出を自粛するよう呼びかけた。

 ロンドンは6日に2012年の夏季五輪の開催地に決まったばかりだが、ロンドンの治安に大きな疑問符が突きつけられたことになる。