英同時テロ、1人逮捕 実行犯は4人(ASAHI)

2005年07月13日01時25分

 英捜査当局は12日、ロンドン中心部で起きた同時爆破テロ事件で、英中部のリーズ市と周辺を家宅捜索し、1人を逮捕した。ロンドン警視庁によると、実行犯は4人とみられ、爆破されたバスなどから犯人の遺体が見つかった。遺留品などから共犯を絞り込んでいる。リーズ市などに潜伏していた模様で、犯人グループの特定を急いでいる。事件と関連のある車両もロンドン近郊の駅で発見された。

 逮捕された人物について当局は明らかにしていない。これまでの捜査で、ロンドンの大英博物館近くで爆発した2階建てバスなどから、犯人とみられる遺体が見つかった。1人はバスから、ほかの3人は地下鉄で発見された模様だ。この3人は自爆したとみられる。

 事件が起きる直前の7日午前8時半ごろ、キングズクロス駅で、実行犯とみられる4人の姿が監視カメラに映っていた。

 身分証明書などの遺留品から身元を確認し、ロンドンの北約300キロにあるリーズ市と周辺にある6軒の捜索に踏み切った。パキスタン系などイスラム教徒の住民が多い地域という。このうち1軒では、軍と共同で警察が入り口を爆破して突入。約500人の付近住民が避難した。犯人のうち3人は同市があるウエスト・ヨークシャー地域の出身という。家宅捜索は今回のテロ事件では初めて。

 リーズの方角にあり、ロンドンの北西約55キロのルートン駅も封鎖して捜索。駐車場で「事件とかかわりのあるとみられる車両」を発見した。どのような関連かは明らかにしていない。警察は4カ所の爆破現場へのルートが交差するロンドンのキングズクロス駅を「犯行の起点」とみている。同駅とリーズには直行の路線がある。

 捜査当局は犯人グループの特定を急いでいるが、フィナンシャル・タイムズ紙は「数日以内に1人または複数人の写真が公開されるだろう」と伝えた。持ち運びが容易な軽い爆発物が使われていたことなどから、キングズクロス駅に集結した4人が単独で地下鉄やバスに乗り、爆弾を仕掛けた可能性がある。

 テロに使用された四つの爆発物は、重さ4・5キロ未満でリュックサックで持ち運びできる。捜査当局は部品から「手製」でなく「軍事用」とほぼ断定した。時限装置付きの爆弾を使ったとみられている。

 英紙タイムズは爆発物が「バルカン半島から持ち込まれた」と報じた。構造や入手経路などから「プロ集団による犯行」との見方が有力だ。

 捜査当局は、キングズクロス駅が、被害を受けた三つの地下鉄の停車駅で、爆破されたバスの路線も近くを通っている点に注目。同駅は事件当時に大きな改修工事があり、監視態勢のスキを突いた可能性もある。