北朝鮮「NPT復帰は軽水炉提供後」 次回協議へ牽制か(ASAHI)

2005年09月20日11時52分

 北朝鮮外務省は20日、前日に閉会した第4回6者協議を論評する初の報道官談話を発表した。軽水炉が提供された後に核不拡散条約(NPT)に復帰すると主張。米国と日本などは、北朝鮮が核を放棄した後に軽水炉の議論が始まるとの認識なので、「核放棄が先か、見返りとなる軽水炉提供が先か」という問題が早くも表面化した形だ。

 談話は「我々は共同声明で宣言された通り、米国が我々に軽水炉を提供し次第、NPTに復帰し、国際原子力機関IAEA)と核査察協定を締結して履行するだろう」として、軽水炉提供をNPT復帰の条件とする立場を明らかにした。朝鮮中央通信が伝えた。

 19日の共同声明では最初の項目で、北朝鮮核兵器と核計画の放棄、NPTへの復帰を前提なしに約束したことが明記された。北朝鮮が強く主張していた軽水炉問題は「適当な時期に議論する」とされていた。


 この点について日本、米国、韓国は同日の6者協議全体会合で、北朝鮮の完全な核放棄が軽水炉提供の議論をする前提となる、との立場を口頭で表明している。

 北朝鮮の談話は従来の姿勢を再び強調し「核の平和利用の権利」を改めて主張したものだ。11月に予定される次回協議へ向けて、今後も関係国への牽制(けんせい)を強めるとみられる。

 談話は「軽水炉の提供なしでは、我々がすでに保有している核抑止力を放棄することを夢にも考えてはならない」「米国が核兵器の放棄を優先し、軽水炉の提供を後回しにすることに固執すれば、朝米間の核問題は何も変化がなく、結果を複雑にする」として、軽水炉問題の進展が合意事項全体の実現性にかかっているとの考えを示した。