米軍司令部座間移転「陸自と関係強化」 日米協議で説明(ASAHI)

 米軍再編をめぐり、焦点となっている米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への移転案について、11月の日米審議官級協議などでの米側の説明内容が分かった。移転の狙いは朝鮮半島から東南アジア、中東、北アフリカに至る「不安定の弧」と呼ばれる地域への対処とされていたが、先の協議では(1)各国軍との共同対処・訓練の強化(2)前方での指揮統制能力の向上(3)地域性を踏まえた計画策定機能の充実――などの目標を提示。「米陸軍と陸上自衛隊との関係強化」も主な狙いに挙げており、実現すれば軍事面での「日米一体化」が一層強まることになりそうだ。

 同司令部の移転案について日本側は9月に「政治的に受け入れは困難」と回答。11月の協議で改めて米側が移転の意義を説明したことは、米国防総省などの強い意欲を反映したものだ。ただ、日本側は「なお不明な点が多い」と慎重な姿勢を崩さなかったという。

 移転案について米側は、中国と台湾の間の紛争などを念頭に、より「前線」に近い日本に司令部を置くことで、地域の実情に即した作戦計画の立案が可能になると強調。陸上自衛隊など「域内各国軍との共同対処・訓練を強化」することも目標に掲げた。

 第1軍団の任務については(1)日本防衛(2)朝鮮半島有事への後方支援(3)太平洋地域での大規模災害対処――などを挙げた。

 一方、米側は地元に反発があることを踏まえ、「同司令部が移転しても、キャンプ座間(現在約1800人)の増員を抑制することもできる」と説明した。現在の司令部をそのまま移転するのではなく、指揮系統を大幅にスリム化した新たな「作戦運用司令部」に再編してから移転するとみられる。また、「安定駐留が戦略的目標であり、住民負担の軽減には努力したい」と、沖縄などの地元負担軽減への努力を約束したという。 (12/08 03:13)